「……すみません。そろそろ」
見つかる前に帰ろう。そう判断したあたしは、働いていた1ヶ月をほめてくれる店長さんに言った。
「短い間でしたがお世話になりました」
帰りたい。
こんなとこ、もう二度とこない。
「…………っ」
急いで店から出ようとしたとき、篤紀と別れ、持ち場にきた彼女と目があった。
「……」
「あっ、百瀬さん!」
プイッと顔を背けると、彼女が名を呼んでくる。……聞きたくなかった嫌な声。
両サイドに広がる自動ドア。久しぶりに聞いた、お見送りの音声。
あたしは徒競走のように、前屈みで歩いていた。……走りたくはない。逃げるみたいに見えるから。でも、ゆっくり歩くほど、心に余裕はないみたい。
見つかる前に帰ろう。そう判断したあたしは、働いていた1ヶ月をほめてくれる店長さんに言った。
「短い間でしたがお世話になりました」
帰りたい。
こんなとこ、もう二度とこない。
「…………っ」
急いで店から出ようとしたとき、篤紀と別れ、持ち場にきた彼女と目があった。
「……」
「あっ、百瀬さん!」
プイッと顔を背けると、彼女が名を呼んでくる。……聞きたくなかった嫌な声。
両サイドに広がる自動ドア。久しぶりに聞いた、お見送りの音声。
あたしは徒競走のように、前屈みで歩いていた。……走りたくはない。逃げるみたいに見えるから。でも、ゆっくり歩くほど、心に余裕はないみたい。



