「その目だよ。口ほどにものを言う、ってやつ」

至近距離にある透吾の顔。憎たらしい言葉を並べられ、あたしの目つきはきつくなる。

「いいねぇ、その表情。カメラ置いてきたの失敗だったな」

挑発するような口ぶり。

ククク、と笑う顔がほんとムカつく。

だけど、なぜか心はわくわくしている。

……あの海をこんなふうに撮る男。

どんなふうに撮ってくれるのか、と気になるあたしが……いる。

「後悔するわよ、あたしを選んだこと」

立ってみたいと思った、カメラの前に。

透吾はにやりと笑う。

そして、見下すような表情で囁いた。

「その鼻、へし折ってやるよ」