いきなりすぎて、あたしの頭は完全に混乱していた。

だって、こういうのは一般のあたしにはあり得ないことだから。けれど、透吾はこう言ったの。

「無名がいいんだよ、無名が。写真の価値を勝手にあげたりしねぇから」

にんまりと口もとを緩ませて、笑う。意地悪なその表情に、ムッとした。

「性格悪い……」

「だろ? 俺たち気が合うんじゃね?」

また、そんな言い方……。

「あんたねぇ、あたしの何を知ってんのよ?」

いつもいつも、何もかもわかったふりして……何も知らないくせに。

「無名」と言われたことにイラッとしていた。これでもあたし、聖葉の3冠なんだから。

ふんっと顔を背けたら、あごをクイッとつかまれた。