ティアラ2

「お気に入りねぇ」

フッと笑う店員さん。その表情に、さっきまでの爽やかさなど欠片もなく。

「なんだよ?」

透吾もおかしく感じたのだろう。

「この子、前に言ってた……アレに?」

アレって何?

「さすがエツ。よくわかったな。まだ交渉にも至ってないけどな」

だからアレって何よ?

あたしの存在を無視して、勝手に流れる会話。

訳のわからない言葉が並ぶから、仕方なくウーロン茶をごくごく飲んだ。

しばらくして、奥の従業員に声をかけられた「エツ」さんは、ここを去る前にあたしの隣へ来る。

「こいつが何者なのかは、そのうちわかるはずだよ。……悪いヤツじゃないから安心していいと思うし」

耳もとに口を近づけてきた彼は、小声で囁く。

少し息がかかり、くすぐったさをなくしたくて耳に手を当てるあたし。