ティアラ2

「ウーロン茶でいいだろ?」

突然、振り向いてくる透吾。

それまでボーッとしていたから、慌てて何度もうなずいてしまった。

「……誰、この子?」

店員さんは腰を曲げて、チラッとあたしを見てくる。

ニヤニヤ口もとが緩んでいて、彼を冷やかそうとしているみたい。

「そういう関係じゃ……」

「いまのお気に入り」

変な誤解をされたくなくて、きっぱりと彼女じゃないことを伝えたかった。

なのに、透吾はあたしの声を遮って、馴れなれしく頭に手を置いてくる。

イラッとして手を払いのけた。

「あのねぇ、そんな言い方……」

「トイレ行ってくるわ」

あたしの声を完全に無視。

彼はすっくと席を立ち、まだ店員さんがいるのにお手洗いへ行ってしまった。