ティアラ2

「……」

ニタァと緩んだ透吾の口を見て、全身に鳥肌がたった。

「……やだ」

こいつ、マジ怖い!

「やだやだやだ!! おりるーっ!!」

「こら、また……ちょ、待てって!」

さっきと同じやり取り。半泣きになって暴れるあたしと、運転しながら焦り出す透吾。

車はまたぐらぐら揺れて、あたしの知らない道を走っていく。


「はぁ……はぁ、はぁ……はぁ」

「……のど、乾いた」

約15分間、ずっと暴れていたせいで、くったくたのあたし。透吾もうんざりした表情。

「……イタリアン?」

車をおりて、目の前の店を見上げる。

今度は見たこともない飲食店だ。外にメニューなんて出してないし、窓なんてないから中の様子もわからない。

店の名前で、洋食だなってことはわかったけれど。