ティアラ2

この野郎、ああ言えばこう言う……。

「べっつに! この程度の服なんて、いくらでも持ってるし!」

こんな値段のものは1着もないけれど。

心の中で「今日は厄日だ」とつぶやいた。……ほんとついてない。

「なら、返しておいでよ。いつでもいいから」

「……」

「たくさんあるなら、何着もいらないでしょ」

「ちょっと」

透吾は運転しながら、洋服のことを話し続ける。けれど、あたしは目に映った文字が気になって、それどころじゃなかった。

「今度はどこへ行くつもり?」
道路上の看板を見たの。

この車……完全に、希望ヶ丘とは逆のほうへ向かってる。