ティアラ2

すると、透吾は何かの呪文を唱えるかのように言葉を並べてきた。

「ドットのワンピース5万8千円、白のサンダル3万6千円。花のコサージュは……いくらだったかな?」

ピタリと手が止まってしまう。

顔をあげると、彼は財布に入れたレシートをもう一度出して、値段を見ようとしている。

「あ、サンダルは3万8千円だった。んで、コサー……」

「ぶ、分割で払います」

財布を探すのをやめる、あたし。だって、いまは6千円しか持ってないもの。

青ざめた表情で、おとなしく助手席に腰かけた。

すると、透吾はククッと小さく笑い、車を走らせる。

「洗って、返してくれればいいよ」

「……!」

見下すような言い方にムッとした。

「ちゃんと払います! バカにしないでよ。バイト代だってもうすぐ入るし、それくらい……」

「あ、やっぱり気に入ってるんだ? そのワンピース」