ティアラ2

「ちょっと」

一体、どういうつもりなの?

「ちょっとってば」

話しかけてるのに振り返りもせず、透吾は先に、車の中に入った。


カチャッとロックがはずれる音。あたしはドアを引き、腰を曲げて中を覗きこむ。

「勝手にプレゼントしないで。こんなもの買われても、あたしは……」

「こんなもの? 結構、気に入ってるように見えたけど」

声をさえぎられる。

透吾は口ごもるあたしをあざ笑うかのように前を向き、車に置いてあるサングラスをかけた。

たしかに、鏡に全身を映したとき、顔に出るくらい喜んではいたけれど。

「……じゃあ、お金払う」

タダより怖いものはない。あたしは鞄の中に手を入れて、財布を探した。