ティアラ2

30分後、透吾の車は繁華街のど真ん中でとまった。

「あら、透吾」

「よぉ」

ガランガランとベルが鳴る。

いらっしゃいませ、と声をかけてくる数名の店員。そのひとたちには軽く会釈だけをし、透吾は奥から顔を出す30歳くらいの女性のもとへと歩き出す。

「……ここって」

前を通ったことは何度もあるけれど、入ったことのない店。

外から見ても、ガラスケースの中に飾ってある洋服はどれも高そうで、足を踏み入れるのも怖かった。

「まぁ、可愛らしい女の子」

キョロキョロ店内を見渡していると、透吾と話し込んでいた女性が、ニコッと微笑みかけてくる。

慌てて頭を下げると、透吾は……。

「この子に似合うやつ、頼むわ」

突然、わけのわからないことを言い出した。