ティアラ2

ククッと静かに笑みをもらす透吾は、何も言わず、返事の代わりに突然、コンビニの駐車場へ入る。そしてUターン。

「……ちょっと」

「ん?」

さっき通った道を、また戻る彼。

「どこへ行く気?」

「んー」

どうやら答えるつもりはないみたい。何度聞いても透吾は言葉を濁し、ニヤニヤ笑うだけ。

ゾッとした。

「あ、あたしっ」

「ん?」

まさか、まさか……。

「脱がないからね! 絶対、脱がないから!」

逃げなきゃ、アダルトビデオに出演することになってしまう!!

ハッ! いまの服……ちょうど汚れてるし、犯された系の女で映すつもりじゃ!!

「はぁ!?」

あたしの言葉に目を丸くする、透吾。

「騙されないわよ、この悪徳! あたしで儲けようなんて100万年早い!」

ビデオなんかにされたら、全国にあたしの裸が出回って……ぎゃああっ、末代までの恥だ! 

はやく、はやく飛び降りなきゃ!