ティアラ2

「やっぱ関わらないほうがよさそう」

戻ってくるまえに帰ろう。そう思ったとき、車のクラクションが鳴った。

「……チッ」

いつもの赤い車に乗った透吾が、親指を立てて「乗れ」と合図する。

逃げ遅れたあたしは、仕方なく彼のもとへとぼとぼ歩く。

「絶対、送ってよ! 通報する準備はできてるんだから!」

「はいはい」

乗り込む前に、携帯を見せた。

画面に並べた「110」という数字を見て、彼は呆れた表情をする。

左バンドル、どんだけ金持ちよ。

「売り飛ばさないでよ?」

乗ってからも、離れて座る。いつでも通報できるよう、携帯を握りしめた状態で。