聞くだけ聞いて、自分は答えない。

「そこのTAMAKIでバイトしてるの」なんて言ったら、明日から通いだすに決まってる。この近所に住んでる人なら、なおさら。

「……」

って、もう辞めるんだっけ。

「送ってあげるから、ついておいで」

さっきの喧嘩を思い出して、ぼんやりしていたとき、そばにいた透吾がスタスタ歩き出した。

「結構です」

ハッと我にかえり、素っ気なく返事をする。……駅はもう目と鼻の先だし、こんなやつに送ってもらいたくなんかない。

つんとした態度で、透吾を追い越す。

相手にしないで、さっさと帰るつもりだった。けれど……。