「邪魔」

おりて脚立を横にずらす彼は、その場所に突っ立ったままのあたしをどかそうとする。

え、もしかしてまだ怒ってんの?

昨日は昨日、今日は今日でしょ?

なによ、邪魔って……せっかく会いにきてあげたのに。


「……出してくれてもいいじゃない」

あたしばっか悩んでる気がして、ムカついたから文句を言った。

すると、段ボールから本を出す彼は、ゆっくりと振り返り、呆れた目であたしを見る。


「は? お前、俺の金をあてにしてんの?」

「別に……あてにしてたわけじゃないけど」


出してもらおうなんてこれっぽっちも考えてなかったし、いまだってそんなつもりない。

けれど、前よりも日数を増やしたなら……それくらい言ってくれたっていいじゃない。