ここで黙ってたら、本当に犯人にされてしまう。やってもないことで責められたりはしたくないもの。

くそう……。

「あたしじゃないですから!」

こいつら、振り返りもしない。

何度言っても、護衛どもはしくしく泣くプリンセスを見つめたまま。耳すら傾けない。

「あたしじゃ……」

「ごめんね、みんな」

振り向くまで続けようとするあたしの声を、小さな鼻声がさえぎった。

「もう大丈夫。ごめんね、こんなことで泣いちゃって……」

まだうつむいたままの彼女。目にうっすら浮かべた涙を指でふきながら、明るい口調でそう話し始める。