ティアラ2

「で、さっきから何を見てんの?」

人が真剣に話してるっていうのに、彼女はずっとうつむいてばかり。

「あぁ、旅行の」

あたしが身を乗り出すと、直子は見ていた雑誌を縦にした。


「なに、北海道?」

広々とした草原と、海鮮丼やカニの写真。きっと旅館やお店をチェックしているのだろう。雑誌の縁にはたくさん付箋紙が挟んであった。

「うん。今度の夏休み、ふたりで行こうかって話してるんだ」

嬉しそうに微笑んで、また雑誌を見る。そんな姿を羨ましげに見つめるあたしは、ふとあることを思い付いた。

「それよ!」