ティアラ2

小馬鹿にした口ぶり。いまいちばん言われたくない言葉を、さらっと口にした彼。

「返して!」

透吾の手からブラシを奪い、出していた化粧道具を急いでしまう。透吾は急に機嫌を損ねたあたしに驚いていた。

ちゃっかり試供品までカバンに入れたあたしは、「さよなら」と一言おいて席を立つ。

男とふたりでいるのを気にしていたのだろう。調理場に目を向けると、直子もこっちを見ていた。

けれど、気分が悪いあたしは、彼女と目が合ってもツンとした態度で、さっさと店を出た。



「どいつもこいつも……」

単純単純、ってバカにしやがって。

ひとりになったあたしは人通りの多い街中を、ブツブツ文句を言いながら歩く。