素直に、誉められていることを嬉しいと思えた。
「それくらい常識です。これ見て」
ポーチから自慢のケースを出した。かさばらないように短くできていて、持ち手を引き伸ばして使うブラシのセット。
「このふたつはチークで、ここからここまでがシャドウブラシ」
おととし、お金を貯めて購入したもの。「プロのメイクアップアーティストも使ってるんですよ」と、買うときに店員さんから聞いたんだ。
「あと……」
もっと見てほしくて、他に何かあるかなとポーチの中をごそごそ探す。
すると、ブラシを眺めていた透吾が、いきなり声を出さずに笑いだした。
きょとんとして「何?」と訊ねる、あたし。透吾は口をきゅっと引き締めて、こう言った。
「単純だね」
「それくらい常識です。これ見て」
ポーチから自慢のケースを出した。かさばらないように短くできていて、持ち手を引き伸ばして使うブラシのセット。
「このふたつはチークで、ここからここまでがシャドウブラシ」
おととし、お金を貯めて購入したもの。「プロのメイクアップアーティストも使ってるんですよ」と、買うときに店員さんから聞いたんだ。
「あと……」
もっと見てほしくて、他に何かあるかなとポーチの中をごそごそ探す。
すると、ブラシを眺めていた透吾が、いきなり声を出さずに笑いだした。
きょとんとして「何?」と訊ねる、あたし。透吾は口をきゅっと引き締めて、こう言った。
「単純だね」



