ティアラ2

「ほら、やっぱり……」

単色だと落ち着いた色に見えるのに、混ぜてみるとピンクの華やかさが効いて、赤自体も明るい色になる。

「これなら普段でも使えそう!」

発見したことが嬉しくて、興奮した。「ほら」と、手の甲を透吾に向けたあたし。

だけど、ハッと我に返る。隣にいた透吾がにんまりと微笑んでいたから。

……手のひらの上で転がされていたかのような気分。

「……」

恥ずかしくて、悔しくて、顔が熱くなった。あたしは反抗心から口を尖らせる。

けれど、透吾はそんな表情を気にも止めず、この手からヘラを奪った。

「やっぱすごいね。……ちゃんとこういうのも揃えてんだ?」

ひじをついて、両手で持ったヘラをかざすようにして見つめる透吾。ワクワクした目、嫌みったらしさの欠片もない笑い方。