「気を張って、いまに見てなさいとか言ってるお前より、イビキかいて子供みたいに寝てるほうが可愛いなって思った」

ほらね。こういうとき、篤紀は絶対に「可愛い」って言ってくれるの。そう思ってるなら、普段から言ってくれればいいのに。


「……篤紀、ジュースが」

「大丈夫。蓋しめた」


今日も彼の手は、あたしの耳をおおって頭を支える。これって、篤紀の癖なのかな?


「誰か、くるかも」


ほんとは人目なんて気にしてなかったけれど、近づいてくる顔にドキドキして。

さっきまでギャーギャー騒いでたのに、一瞬で静かになり、素直にキスを待つ自分が恥ずかしいから。