やだ、マジで言ってんの?

もしほんとにイビキをかいてたのなら、あたし……ものすごくダサいじゃない。

「……かいてないよっ」

カーッと顔が熱くなる。

絶対にかいてないと否定してるけれど、ほんとはちょっと自信がない。

だって、あの頃は毎日、寝る前に仕返しのネタを考えてたから、睡眠不足が続いてたし。

昔から、篤紀には格好悪いとこばかり見せてる気がする。

小学生のときも、再会してからも、篤紀はいつもあたしより一枚上手で。……19になったいまも、格好悪いとこばかり見られてて。

ほんとにかいてたのかもしれないけれど、いまそれを言わなくてもいいじゃない。

……なんかムカついた。

「どうせ、あんたのことだから……イビキを聞いたとき、うるせぇなとか思ってたんでしょ?」

ふんっと鼻を鳴らして、嫌みったらしく言ってやった。すると、篤紀は小さく笑いながら「認めた」とつぶやく。