ぷっ、と笑われた。

「なによ?」

手のひらで手と鼻を隠しながら、じろりと睨む。すると、彼はクククと笑うのをこらえて、こう言った。

「お前さ、この公園でぶっ倒れるの、2度目じゃね?」

それは、あたしたちが付き合う前の話。


嫌がらせをすることに必死だったあたしは、ある日の休日、まずいお弁当を作って、可愛い格好をし、爽やかに差し入れをしにきたことがある。

そのとき突然、空から降ってきたサッカーボールに顔面をぶつけ、今日みたいに倒れちゃったんだ。

「そ、そんなことあったっけ?」

恥ずかしくなって、思わず顔を背けた。

「あったよ。あんときのお前、イビキまでかいて寝てたし」

「うそ!?」

「うそじゃねぇって。マジマジ」

「うそだぁ!? あたし、イビキなんてかいたことないもん!!」

「かいてたって」