見事に、振られました。

「それにね、涙は出たけど、流してないんだよ。すごくすごく、好きだったはずなのにね。なんでだろ、涙は溢れてこない」


 口に運んだお茶は、冷えてしまっていた。


「今までで一番好きだと思ってたけど、違ったのかな」

「……今は、そう思うだけだろ」


 私の手から湯呑みをひったくって、それを一気に飲み干した。

 そして急須から新しいお茶を淹れてくれた。


「今日は泊っていけば?寒いし」

「……うん、コタツから出たくないし」


 淹れてくれたお茶を一口飲んで、またコタツにもぐりこんだ。

 脚は反対側から少しだけ出して。

 タケの脚が邪魔だったから、蹴った。


「今日はお鍋がいいな」

「材料ない」

「買ってきて」

「……」

「一緒に行きます」

「なら、いいよ」