見事に、振られました。

 笑って言うことじゃなかったか、と思ったけど、いいや。

 驚いたタケの顔が見れて、なんか満足した。


 涙は引っ込める。

 今涙が出たら、溢れてしまう。

 泣き叫ばないけど、泣き喚かないけど、泣きます。

 こんなお姉ちゃんだけど、今日はちょっと、付き合ってね。


「さっさと買って、鍋するぞー!」


 カラリと乾いた世界に、間抜けな声が響いた。

 タケも「おー!」と笑いながら答えてくれた。

 
 タケは隣にいてくれるだろう。

 いつも厳しく、時に優しく、時にわがままで。

 こんな弟がいる私は、すっごい幸せ者だ。




【見事に、振られました 完】