見事に、振られました。

 首元は寒い。

 耳は痛い。

 鼻は真っ赤だと思う。


 パンのヒーローみたいだとか、トナカイみたいだとか言われたっけ。

 彼も同じだったのに、私ばっかりからかわれた。


 白い息が上っていく。

 視線の先でカップルが寄り添って歩いて行く。


「妬ましげに見ない」


 頭をはたかれた。


「私、次はちゃんとしてあげるんだ。してもらうだけじゃなくて、ちゃんとお返しするんだ」

「そうか」

「うん。私は失敗から、失恋から学べる女なんだよ」

「そりゃすごい」

「すごいんだよ、あんたの姉さんは」

「誇らしいよ」


 笑うタケに、ほっとする。


「さっき言ったこと撤回しとく」


 タケの不思議そうな顔に、私はニッと笑ってやった。


「今日、泣くから」