見事に、振られました。

「いっぱいしてもらったのに、私はたったのマフラー。全然ダメだ。そりゃ振られる!」


 冬の風は目にしみる。

 涙は出るのに、すぐに出るのに。

 胸はこんなに痛いのに。


「似合ってると思うよ、マフラー」


 タケの口から白い息が出る。

 それをなぜか追っていた。


「姉ちゃんには似合うよ、オレンジ色」


 弟だからわかるの?

 私の欲しい言葉。


「最後に彼からは全然似合わないって言われたんだよ。でも、タケが言うなら似合ってるのかな!」


 笑ったら、タケは少し悲しそうな顔をした。

 そんな顔、許さないぞ。


「あ、ミカン!ミカン食べたい!」

「じゃ、ついでに買っていこうか」

「コタツにミカンは基本だからね!あ、アイスも!」

「……」

「姉さんが出します」

「ならいいです」