そして、
「気がついたら、銀色の髪をした男が倒れてて血が床いっぱいに広がっててボクは、血まみれのナイフを握ってた」
その嘘一つない言葉に男は、
瞳を見開いた。
「アナタは、ボクを知っているんでしょう?ボクは、誰?どうしてアソコにいたの?あの人は、誰?」
少女は、艶やかな黒髪が
肩から胸に移動していくのを
肌で感じながら
バックミラーに映る驚いた表情の
茶髪の男を見つめた。
男は、何かに気がつき
「…そういうことか、」と
歯を食いしばった。
「そういうこと?」
少女が、首を傾げると
男は力任せにアクセルを踏み込んだ。

