君の名は灰かぶり



そして少女は、

開いた先の明るく冴え渡っている

雲ひとつない蒼い空に驚いた。



何故か少女は、

空を空として見たことがなかったのだ。



少女は、軽い足取りで歩き出した。

紅い足跡には気付かないで

気の向くままに歩いた。



少女にはそこが幸せへと

続く道のように感じた。



ペタペタと幸せに歩く

少女の手を引いたのは──…



「──…サクヤ、こっちだ」


黒いスーツに身を包んだ

無愛想な茶髪の男だった。