君の名は灰かぶり



ほんの少し思い出して

それからすぐに思った。



──…だけど、この男は誰?

この沸き上がってくる感情は、


なんていう名前だったっけ?


ボクは、この男を

どうして知っているんだ…?



少女は、男に対する恐怖を忘れて

頭の中を整理しようと


その男の正体や

自分の事について考え始めた。


──…この男が言っていた。

ボクの名前は、サクヤ?


どうしてボクは、自分の名前も正体さえも忘れてしまっているんだろう…?


この男が言う"そういう事"って

どういう事?


ボクは、誰?

あの銀髪の男は、誰?

どうしてボクは、

あの部屋に居たんだろう…?