まおと前田くんのように、同じ駅を利用しているわけじゃないから、あたしたちはどちらかが待っていないと、会えない。


せっかくの“恋人同士”だよ?

登下校を一緒にしたい!



「愛川? ボーッとしているみたいだけど、大丈夫か? 疲れているなら部室で休んでいてもいいんだからな」


「ううん、なんでもない。 大丈夫だから」


言えるわけないよ! 桐谷がかっこいいから、見とれていましたなんて。

桐谷って男の子なのに、何気に目が大きくて…… 羨ましい。



「ほら、キャプテン! まだ練習残っているでしょ? …… 頑張って」


「おうっ! サンキュー」


桐谷は再びコートに戻った。


ドリブルをして、ゴールの少し手前。

桐谷が床を強く蹴り上げて、宙に浮いて…… ボールが弧を描いて。


ゴールに吸い込まれた。