陽太が身を乗り出してきた。


「んで、どこに出掛けるんだ?」


「駅ビル」


あいつを喜ばせるには食べ物を与えるのが一番。

それに、今回はまおへのお返しってことで出掛けるんだ。

だから、ケーキ屋巡りだな。



「陽太は部活ばかりなのか?」


「まあな、今年は最後だから」


気が付いたら3年になるのか…… 俺ら。

早いよな……。



「受験だな?」


「陽太はバスケの推薦とかありそうだな」


問題はあのまおだ。

あいつは遊んでいるばっかりで、勉強なんてやっていないんじゃないか?


「樹はセンターだよな」


「あぁ、センター受けて、滑り止めで私大を何校か受ける」


2年の頃から何気に進路は決めていたし、俺の両親は何も言わなかった。


まおは……。 考えるのを辞めよう。
あれはほとんど決めていないはずだ。