――― Itsuki.


例え…… 回りのやつがまおを見捨てたとしても。


俺はきっと……。

まおを見捨てる事なんて、出来やしない。


ガチャリッと、ドアを開けると薄暗い部屋が広がる。


まおを部屋の前まで送っていき、やっと戻って来ることが出来た。


俺は、迷わずに大きなデカイ固まりを目指して足を進めた。


まず部屋に戻ってきてやること。 …… それは。


「陽太、てめー起きているだろ?」


ベットにいる“デカイ固まり”に声をかける。


壁側に顔を向けているから、俺には背中しかわからない。

それでも、気付くときは気付くんだよっ!



「陽太、狸寝入りとか良い度胸してんじゃん。 陽太の秘密、愛川に話してやろうか?」


陽太の秘密、なんて一つも知らない。

でも、こいつにはこうでも言わないかぎり……。


「わ、悪い 樹」


起きないと、思ったんだよな。