Anniversary.

こうやってって……。 もしかして、抱きしめてくれるの?


でもでも!


「“ウザい”って言った」


「当たり前だ、バカッ。さっきの状況を考えてみろ」


いまだにあたしの耳元から離れないで、唇がよっている。


耳にかかる息が、くすぐったくて身を固める。


「陽太が隣にいるのに、こんな事を出来るわけねーだろ?」


「恥ずかしかったの?」


「………」


あっ、何も話さなくなった。

って言うことは……。


「恥ずかしかったのかー」


なんだ、いっくんも普通の“男の子”なんだ。

ちょっと安心。


いっくんの背中にゆっくり手を回して。 大きい胸に、顔を埋める。


――― ドキッ ドキッ。


いっくんの心臓が、早く鳴っいる。


あたしにしたら……。 いっくんは、“ドキドキ”しないのかと思っていた。