布団も直して、ドアの前に立ついっくんに近付いた。


「ゴメン、陽太くんの布団を直していた」


「陽太なんて、ほっときゃいいのに」


放っておくって…… かわいそうだよ!

いっくんの友達なんだから。



「まお、こっちこい。 “声、出さずに”」


「???」


声を出さずにって? なんか強調しすぎじゃない?


全く……。 意味分からない。


一歩ずつ、いっくんに近付いた。


「声、出すな」


「――― っっ」


グイッと強く、腕を引っ張られた。


「出来れば……」


あたしの耳元に近付いて、いっくんの小さな声を捕える。


わざとなのか、分からないけど……。

あたしの右耳に近付いているから、近すぎる!


いっくんの髪が、頬に触れる。


「出来れば……、誰も居ないとこで言ってくれる?

…… そうしたら、こうやってやるから」