昔、懐かしく語り終るとリカちゃんが身を乗り出してきた。


「まおちゃんも前田くんも可愛いー! まおちゃんは…… 今とあまり変わらない感じもするけど。
前田くんって案外可愛い所があるんだね」


いっくんが可愛い!?
……… どこがっ。


あれはただの“いじめっこ”


……… まあ、たまにみせるあの“優しさ”は本物だろうけど。



「基本は“いじめっこ”だよ?」


「そうだけど……。

前田くんって“痛いの痛いの、飛んで行けー”とかはやらなかった?」


「…… やった」


血が出ていないときはやってくれた。


はぁー、あの頃のいっくんはまだ“可愛い”けど。

今となっては“可愛い”なんて言葉は似合わないくらいになってしまった。


“まーちゃん” “いっくん”
お互いをそう呼び合っていた、あのきれいな心を持ち合わせていた、幼少時代が――― 懐かしい。