ううん。
違う。


きっと前から……この気持ちはあったんだ。
ただ、それにあたしが気付いていなかっただけ。





「もうバレンタインデーの季節かぁ」


帰り道。
デバーとのディスプレイを見てボソッと呟くのん君。


「今年はお父さんとお兄ちゃんとひぃ君の3人かぁ」


そう言ってあたしはチョコを見つめた。
するとのん君はギョッとしたような顔であたしを見た。


「っちょ、俺の分は?」


「え?」


のん君を見ると、少しムッとした顔をしている。


「いいの?のん君も同じやつで」


「え?」


キョトンとしたのん君。
あたしの言ってる事がようやく分かったらしく、ほんのり顔を赤らめた。


今年は……。
初めて手作りを作る。


そのチョコは、特別な大切な人になろうとしてるのん君の為に♪