聖。
今その名前聞いたら涙が止まらなくなるよ。


「うっ……ふぅ」


呼吸もできないくらい苦しい。
すると優しくのん君があたしの頭を撫でて自分の方に引き寄せた。


「……ごめんな?」


ねぇ。
何で謝るの?
のん君悪くないじゃんか。


それなのに……。
のん君はあたしの傍にいてくれた。
あの時言ったように……。
ずっと傍にいてくれた。


……のん君。
ありがとう、ホントに。


のん君の優しさに触れて、余計に涙が出た。


「うぅ~……」


するとのん君はあたしを抱き寄せた。


え?


キョトンとして顔を上げると、のん君は優しく微笑んだ。


「俺は莉子の事好きだから……」


のん君?


「これから……好きになってもらえるように頑張るから」


そう言ってのん君は微笑んだ。
そしてあたしの頬に触れると、優しく頬にキスした。


ドキ……。
まただ。


前にもあったドキドキ。
あの時から感じたこの高鳴りは……。


きっとこの先……。
きっと特別なものに変わっていくだろう……。


のん君の腕の中でそう思った。