コンコン。
「莉子ー」
部屋の扉をノックする音と、あたしを呼ぶ声に。
あたしは、自分が寝てしまっていた事に気付かされた。
なぁに……?
あたしは目を擦りながら部屋の扉を開けると、お母さんが立っていた。
「のんちゃん寝ちゃって起きないのよ。莉子。家に連れてってあげて」
……は?
あたしは寝起きでボーっとしていて、お母さんの言ってる意味がよく分からなかったけど。
お兄ちゃんの部屋を覗いて溜め息をついた。
ゲームやりっぱなしの散らかった部屋に、雑魚寝をしているお兄ちゃんとのん君。
あたしは呆れながら寝ているのん君の体を揺すった。
「のんくーん。家帰って寝なよー。明日学校なんだよ?」
「……んー」
って、まったく起きる気配がない。
のん君って……。
こんなに寝起き悪かったっけ?
はっきり言って女のあたしが、自分より20センチ近くデカイ男を担いでいくのは大変。
だからあたしは今度はお兄ちゃんを起こそうとした。
「お兄ちゃん!のん君連れてって!!」
でも。
怒鳴っても。
殴っても。
お兄ちゃんは一向に起きる気配がない。
はぁ……。
仕方ない。
あたしが担いでいくしかない。
あたしは大きく溜め息をついて、のん君を起き上がらせた。
寝ていて無防備だからか。
すっごく重い。
「もぉー!!のん君もお兄ちゃんも!眠気限界来る前になんとかしてよぉ」
あたしは愚痴を言いながら隣の隣ののん君達の部屋へ歩いた。
「のん君!あと少しだから頑張って!」
てかあたしが頑張って!

