詰め合わせに利用した缶詰
出ることのない声さえも
届きそうなくらいに
この街は穏やかで
優しい色をしている

見上げた空は
いつだって絶大で
優しい雲に覆われている

僕等が過ごしている日常なんて
数ある歴史の中のたった一文字にすぎない
けれども
そんな浅い時間の中で
精一杯泣いたり怒ったり笑ったり

そうやって足りないものを埋めていこうと
必死でもがいている

夕日が沈む頃に見た情景
澱んだ空気さえも
黄金色に染まっていく

あんなに綺麗な風景でさえも
僕等が見ようとしない限りは
ただの風景にしかならないのだろう

ふとそんなことを思う
秋の夜長……