「今日はどうする?ベーシックネイルケアでいい?爪のスタイリングと表面を磨くのと甘皮処理。それにベースコートを塗ってオイルで仕上げる」

咲は頷いた。

彩世は咲の手に触れた。

冷たい手。

ゾクゾクした。

暖かい手は好きじゃない。

氷のように冷たい手がたまらなかった。

短い爪をエメリーボードで整える。

爪のコーナーからセンターへ一方向へボードを動かす。

そうして爪の形を整えてゆく。

そうしているうちに彩世の暖かい手の熱が伝わり、咲の手が熱を帯びてきた。

ドキドキしていた彩世の心臓が、平常を取り戻した。