白い鼓動灰色の微熱

 血まみれの清香をイメージした彩世の目に、さっき掠めたときの傷しかない清香が写った。

 あとは、湯船の底についた無数の穴。

 彩世が朦朧として視覚が効かなかったため、父は狙いを外し続けたのだ。

 ほっとして、それから、自分が目覚めたことで、今度は確実に狙いを定められることに気付いた。


 いけない。


 目が、清香の首筋を見ている。

 さっき持ち上げた髪が、そのままうなじをむき出しにしている。

 右手が振り上げられた。

 もう、彩世は逆らわなかった。