「アヤセさんっていうんですか?」
 
残された彩世は、女の子達に囲まれたままだった。
 
彩人はキヨカの出現で、まんまとこの場を脱したが、彩世はしっかり取り残されてしまった。
 
彼女達の、憧れのヴォーカルに瓜二つの彩世である。

彩人の方はすでに彼女がいることを知られているので、手の届かない存在であることを彼女達は自覚していた。
 
そこへ、突然同じ顔した彩世が現われたのだ。女の子達がただで逃がすはずはなかった。

「ねえ、アヤセさんは歌わないの?双子なんだから、歌だってうまいんでしょ?」

顔には濃い化粧をしているのに、爪は裸のままの子が言った。