「キヨカ、間違えないでくれよ。オレはこっちなんだから」

彼女はキヨカというのか。

キヨカは彩世に微笑んだ。

自分の彼氏にそっくりな彩世の出現に戸惑っているように見える。
 
彩世の頭の中に、キヨカの名前と、顔を識別するように、手の特徴が入った。

「さっ、行くぞ、キヨカ」
 
彩人は彩世の存在に危機を感じたのか、キヨカの手を取ると、引っ張った。

「って、久しぶりの兄弟ご対面なんでしょう?いいの?さっさと行っちゃって」

「いいのいいの。オレと彩世は繋がっているから、離れてたって、いっつも一緒にいるんだ。な?彩世」

彩世は笑った。