白い鼓動灰色の微熱

彩世は自分の分の紅茶も入れると、そっちを清香に渡したい衝動に駆られた。
 
持ち上げて、清香に渡そうとすると、強い力が、それを押さえつけた。

「あ。紅茶。いただいていい?」
 
清香は言うと、カウンターの向こうの椅子の上に立ち上がって、キッチンの上の、清香の分の紅茶を手に取った。

『あ』
 
清香は椅子に座りなおすと、カップに口をつけた。

「甘あい」

「砂糖入り、嫌い?」

「うーうん。大好き」

清香は嬉しそうに笑って言った。
『でもそれには睡眠薬も入ってるんだ。変な味がしないか?それともオレに遠慮して言えないのか?』
 
清香は美味しそうに紅茶をほぼ一気飲みにした。