「彩世君が片付けたの?」
「いや、彩人が出て行ったときのまま、手をつけていない。ほとんどのものをここに置いたままになってるんじゃないかな。服だって、今は夏物は全部ここにおいてるはずだ。最低限度のものしか置く場所がないって言って、持って行かないんだ」
くるくると紅茶をかき混ぜながら喋っていると、その熱く甘い琥珀の中で睡眠導入剤は綺麗に溶けていった。
「すごく綺麗に片付いてたよ。あんまり何にもないもんだから、クローゼットも開けちゃった。そしたら、“夏物”とか書かれた衣装ケースがあって、きれいに積み上げられていたわ」
「そ。そのまま持っていくんだ。季節の変わり目にね。代わりに着なくなったものを置いていくんだ。うちは物置か」
清香は笑った。
「モノを置くのが嫌いなの?彩人も彩世君も。だって、この家には、びっくりするくらいモノがないんだもの」
「オレが捨て魔なんだ。邪魔になると何でもポイポイ捨てちゃう。言っておくけど父や彩人まで放りだしたわけじゃないからね」
「ええっ?それも妖しいかも」
「いや、彩人が出て行ったときのまま、手をつけていない。ほとんどのものをここに置いたままになってるんじゃないかな。服だって、今は夏物は全部ここにおいてるはずだ。最低限度のものしか置く場所がないって言って、持って行かないんだ」
くるくると紅茶をかき混ぜながら喋っていると、その熱く甘い琥珀の中で睡眠導入剤は綺麗に溶けていった。
「すごく綺麗に片付いてたよ。あんまり何にもないもんだから、クローゼットも開けちゃった。そしたら、“夏物”とか書かれた衣装ケースがあって、きれいに積み上げられていたわ」
「そ。そのまま持っていくんだ。季節の変わり目にね。代わりに着なくなったものを置いていくんだ。うちは物置か」
清香は笑った。
「モノを置くのが嫌いなの?彩人も彩世君も。だって、この家には、びっくりするくらいモノがないんだもの」
「オレが捨て魔なんだ。邪魔になると何でもポイポイ捨てちゃう。言っておくけど父や彩人まで放りだしたわけじゃないからね」
「ええっ?それも妖しいかも」

