白い鼓動灰色の微熱

メンバー達と接するときは、そんな内心を悟られないように気を使うのだが、警察相手に、気を使う必要はないと思った。

「二人とも知らないよ。練習の邪魔だから出て行ってくれる?」
 
長身の男、清水は、それでも彩人に写真を見せた。

「この二人です。よく見てください」
 
彩人は不機嫌全開で、チラリとそれを見やった。

『知らねえ。出てけよ』
 
そう言う筈の言葉を飲み込んだ。
 
その二人に、見覚えがあった。
 
確かライブによく来てくれる顔だった。

「この人達がどうかしたんですか?」
 
彩人は思わず聞き返した。