白い鼓動灰色の微熱

言って、豊は写真を遠くに押しやった。
 
清水はそれを見て、写真を裏返した。
 
これ以上見せるのは酷というものだ。
 
清水は遺体をはじめて見たときも、検体としてしか目に写らなかった。

解剖をしているときもそれは変わらなかった。

まれに、その解剖がどうしても駄目なヤツが医学部にもいるのだが、たいていは親から受け継いだ医者のDNAのせいか、平気だった。
 
だから、豊のような反応をされると困惑してしまう。
 
生きている人間の延長としてみてしまうから、気分が悪くなるのだろうか。