白い鼓動灰色の微熱

「双子だからって、何でも分かるわけじゃないよ。歌ってるときがかろうじて分かるだけ」

「それでも羨ましい。彩人とそうやってつながってるなんて」
 
よほど、彩人が好きらしい。

「清香ちゃんは彩人のファンだったの?」

「違うわ。友達がファンだったの。それで絶対いいからって無理矢理ライブに連れて行かれたの。そこで、彩人にあったのよ。衝撃的だった」

「一目ぼれ?」

「そう。ステージの上で歌ってる彩人と目が合ったのね。そしたら、目がそらせなくなった。じっと見てると、彩人もあたしのことをじっと見てたのね。彩人が歌詞を間違えてしどろもどろになって、それから、目をそらせたの。でも、ライブが終わったあと、すぐに探しに来たの。あたしを見て『見つけた』って」

彩人の気持ちはよく理解できた。

ライブハウスに詰まった人ごみの中でも清香の存在は輝いて見えただろう。

「ずるいな彩人。オレより先に清香ちゃんに出会ったなんて」

清香は笑った。

いつも、彩人のほうがいいモノに先に出会ってしまう。