6月8日

「ねえ、ニナって好きな人いないの~~?」
「え・・・」
学校の給食の時間、隣の席のせっちゃんが聞いてきた。
「急に何よお?」
笑ってごまかそうとしたけど、せっちゃんの尋問は厳しく続いた。
「だって恋愛話全然出ないじゃんねえ!!」
「フ・・・」
「何、フってえ~」
「いないよ、本当に。今は部活引退まで頑張らないとって感じ・・・。」
「ニナ、部長だもんね・・・大変」
「せっちゃんは、部活どうなの?」
「うん、私の方も大変」
私はバドミントン部でせっちゃんは吹奏楽部に入ってる。

文化部は運動部と違って引退まで長いから大変なはず。
それにせっちゃんは同じ吹奏楽部の友達関係でかなり悩んでいた。
私は話を聞いていることしか出来ないけど、せっちゃんはそれでもいつもありがとうって言ってくれる。

私はそんなせっちゃんを心から信用してる。

「あ、ねえニナ今日塾だっけ?」
「ん~あ、そうだね。塾だった」
「じゃあ明日リカの家でゲーム大会!!」
「ええーまた、ホラーゲームでしょ」
「もちろん!よろしくう」
ホラーゲームは怖いけどみんなでやる分にはいっか・・・。
それに、悩んでるせっちゃんの気分転換になるなら全然構わない。

それにしても・・・今日塾だったか。

私は中学生になる直前にリカからの紹介で塾に入った。科目は英語と数学をとった。
塾は7時半からだから、その前にリカとプリクラでも撮ろうかな~

学校が終わってから、私はいつもリカと一緒に家まで帰る。
リカとは小学5年生頃からの友達で、家も信号をはさんだだけで近い。
リカはいつも冷静で驚いたりしても顔に出ることはあまりない。
私とは正反対の性格で、だからこそうまくつりあってる。

「ねえリカ、今日塾の前プリ撮ろうよ!」
「あ、ごめん。今日家族で出かけるから塾休む」
「ええーそうなの?まあしょうがないね・・・わかったあー」
「うん、ごめーん」

塾にもリカと一緒に通ってるから一人で行くことになっちゃう・・・。