違う。愛は、もういない…。
「もう一度会ってみ…?自分の目で。確かめてみろ」
言っている意味が分からなかった。
でも、きっとそんな事はどうでもよくて、ただ彼女に会いたい。
そんな気持ちでいっぱいで、僕は彼女の元に行く。

「あれ?アランじゃない」
どうしたの?と首を傾げる愛香。
「1つ、聞いてもいいかな…?」
「うん?」
「君は…。人間ですか…?」
次の瞬間。愛香の表情が変わった。
「……」
「君は、愛…なの?」
ただ、黙る彼女に触れようとすると、手がすり抜けてしまった。
「…っ!?」
「やっと、やっと会えた…」
そう言ってアランに抱きつく愛香。
「愛…香?」
わけが分からない…。
「“晃(ひかる)君”…」
ひ、かる?
昔の…僕の名前…。
ただ呆然とするアランを見て、話を続ける愛香。
「私は“愛”。愛香なんかじゃない…」
「あ…い?本当に…?」
愛が、うなずき、目から一筋の道をたどるように涙を流す。
「どうして…。愛は…あの時事故に巻き込まれて死んだはず…」
「私は、人間だけど、人間じゃないの」
言ってる意味が分からなく、言葉が思い浮かばない。
「私は、ここを守るために生き帰った…」
「ここ…。ルーシ湖を?」
「うん。そう」
だんだん頭が痛くなってきたので、ひとまず湖の周りを散歩する事にした。

「私ね…。晃君と永遠のさよならなんかしたくなくて、…晃君に会いたくて…。神様にお願いしたの」
「…バロ様…に?」
驚きが隠せなかった。
「うん。そんなかんじの人」
「そっか…」
「晃君に言いたかった事があったからだよ」
それは…。
「それは…。“手紙”の内容?」
そう言うと、愛は目を大きく開いた。
「知ってるの?」
「純に聞いたんだ。内容までは知らないけど…」